毎朝、同じようなメールを転記していないだろうか。
フォームの回答をスプレッドシートにコピペして、Slackで報告して、請求書を手動で作って──。1つ1つは5分の作業でも、毎日繰り返せば1年で膨大な時間になる。
その作業、全部自動化できる。
Make.com(メイク)は、プログラミング不要で「アプリとアプリをつなぐ」ノーコード自動化ツールだ。3,000以上のアプリに対応し、7,000万人以上が利用している。
この記事では、自動化を一度もやったことがない人でもわかるように、Make.comの仕組み・料金・始め方を解説する。
「自動化」とは何か──5秒でわかる説明
自動化とは、「もしAが起きたら、自動でBをやる」というルールを設定すること。
たとえばこうだ。
| もし(トリガー) | → 自動で(アクション) |
|---|---|
| Gmailに添付ファイル付きメールが届いたら | Google Driveに自動保存 |
| Googleフォームに回答が来たら | スプレッドシートに記録+Slackに通知 |
| ブログを更新したら | X(Twitter)に自動投稿 |
| Shopifyで注文が入ったら | 在庫更新+発送通知メール送信 |
これをコードを書かずにドラッグ&ドロップだけで作れるのがMake.comだ。Make.comではこの自動化の流れを「シナリオ」と呼ぶ。
料金プラン:無料で始められる
Make.comには無料プランがある。まずはそこで試して、足りなくなったら有料に移行するのが正解だ。
| プラン | 月額(年払い) | 円換算 | クレジット/月 | シナリオ数 |
|---|---|---|---|---|
| Free | $0 | 0円 | 1,000 | 2つまで |
| Core | $10.59 | 約1,590円 | 10,000 | 無制限 |
| Pro | $18.82 | 約2,820円 | 10,000 | 無制限 |
| Teams | $34.12 | 約5,120円 | 10,000 | 無制限 |
※$1=150円で計算。月払いは年払いより約30%高くなる。
「クレジット」とは?
ここが初心者が最も混乱するポイントだ。
Make.comでは、シナリオの中の1つの処理ステップ(モジュール)が1回実行される = 1クレジットが消費される。
具体例で説明する。
「Gmailで新着メール受信 → Slackに通知」というシナリオの場合:
- Gmail受信の確認 = 1クレジット
- Slack通知の送信 = 1クレジット
- 合計 = 2クレジット/1回の実行
これが1日10回動くと、1日20クレジット。1ヶ月で約600クレジット。無料プランの1,000クレジットなら、このシナリオ1つで1ヶ月半は持つ計算だ。
知っておくべき落とし穴
失敗した実行もクレジットを消費する。 エラーが出てシナリオが途中で止まっても、途中まで処理したモジュールの分はカウントされる。
フィルターやルーター(条件分岐)もクレジットを消費する。 見えないところでカウントされるので、実際の消費量は想定より多くなることがある。
これはMake.com最大のデメリットだ。正直に言っておく。
始め方:最初のシナリオを5分で作る
Step 1:アカウント登録
make.comにアクセスし「Get started free」をクリック。Googleアカウントで登録可能。クレジットカード不要。
Step 2:シナリオを新規作成
ダッシュボードから「Create a new scenario」をクリック。白いキャンバスが表示される。
Step 3:トリガーを設定する(「もし〇〇が起きたら」)
キャンバス中央の「+」をクリックし、最初のアプリを選ぶ。たとえば「Gmail」を選択して「Watch Emails(メールを監視)」を設定する。
Step 4:アクションを追加する(「自動で〇〇する」)
トリガーの右に次のモジュールを追加。たとえば「Google Sheets」を選択して「Add a Row(行を追加)」を設定する。
Step 5:データを接続する
Gmailから取得したデータ(件名、送信者、本文など)を、Google Sheetsのどの列に入れるか指定する。ドラッグ&ドロップで直感的にマッピングできる。
Step 6:テスト実行
「Run once」ボタンを押すと、1回だけシナリオが実行される。成功すれば、自動的にスプレッドシートにデータが追加されているはずだ。
Step 7:スケジュール設定
最後に「Scheduling」をオンにして、何分間隔でチェックするかを設定する。無料プランは15分間隔が最短。有料プランなら1分間隔にできる。
初心者におすすめの自動化5選
何を自動化すればいいかわからない人向けに、簡単で効果が大きいものを5つ挙げる。
| # | シナリオ | 難易度 | 節約時間の目安 |
|---|---|---|---|
| 1 | Gmail添付ファイル → Google Drive自動保存 | ★ | 月2時間 |
| 2 | RSSフィード → Slack/Discord通知 | ★ | 月1時間 |
| 3 | Googleフォーム回答 → スプレッドシート+メール通知 | ★★ | 月3時間 |
| 4 | ブログ更新 → X(Twitter)自動投稿 | ★★ | 月2時間 |
| 5 | OpenAI API → コンテンツ生成 → WordPress自動投稿 | ★★★ | 月10時間 |
5番目の「AI×自動投稿」は、まさにこのブログ(Meta Labo)の運用でも活用できる仕組みだ。
Zapierとの違い:正直な比較
自動化ツールといえば「Zapier」の方が有名だ。Make.comとどう違うのか。
| 項目 | Make.com | Zapier |
|---|---|---|
| 無料プラン | 1,000クレジット/月 | 100タスク/月 |
| 最安有料プラン | 約1,590円/月 | 約3,000円/月 |
| 対応アプリ数 | 3,000以上 | 7,000以上 |
| ワークフロー設計 | ビジュアル(キャンバス型) | リニア(直線型) |
| 条件分岐 | 無制限 | 最大10分岐 |
| 学習の難易度 | やや難しい | 簡単 |
| エラーハンドリング | 充実 | 基本的 |
| コスパ | 圧倒的に安い | 高い |
どっちを選ぶべきか
Make.comが向いている人:
- コストを抑えたい
- 複雑な条件分岐や並列処理がある
- 技術的な自由度がほしい
Zapierが向いている人:
- とにかく簡単に始めたい
- 英語が苦手(ZapierはUIが直感的)
- 対応アプリの数を重視する
n8nという選択肢
もう1つ、開発者向けの選択肢としてn8nがある。
オープンソースで、自分のサーバーにインストールして無料で使える。ワークフローの実行数でカウントされるため、ステップ数が多いシナリオでもコストが変わらない。
ただし、セルフホストの知識が必要で、サーバー管理も自己責任だ。エンジニアには最適だが、非技術者にはハードルが高い。
| Make.com | n8n | |
|---|---|---|
| 対象 | 非エンジニア向け | エンジニア向け |
| 導入 | ブラウザで即開始 | サーバー構築が必要 |
| コスト | 月1,590円〜 | 無料(セルフホスト) |
| データ管理 | クラウド依存 | 自社管理可能 |
日本語対応:正直な現状
Make.comのUIは英語のみだ。日本語には対応していない。
Chromeの翻訳機能で無理やり日本語化すると、ボタンが反応しなくなるなどの不具合が報告されている。英語UIのまま使うのが安全だ。
ただし、操作自体はアイコンとドラッグ&ドロップが中心なので、英語が読めなくても見た目で理解できる部分は多い。
日本語の解説記事もnote・Qiita・個人ブログに増えてきているので、困ったときは日本語で検索すれば情報は見つかる。
セキュリティ:企業利用は大丈夫か
| 認証・規格 | 状況 |
|---|---|
| SOC 2 Type II | 取得済み |
| SOC 3 | 取得済み |
| GDPR | 準拠 |
| データ暗号化 | 通信時・保存時ともに対応 |
| チーム権限管理 | Teams/Enterpriseプランで対応 |
企業のセキュリティ要件を満たすレベルの認証を取得済みだ。ただし、TeamsまたはEnterpriseプランでないとチーム権限管理が使えない点は注意。
2026年の注目アップデート
Maia(AIビルダー):自然言語でシナリオを自動生成するAIアシスタント。「Gmailに来た請求書をGoogle Driveに保存して、Slackで経理チームに通知して」と日本語で指示するだけで、シナリオを組み立ててくれる。まだ早期アクセス段階だが、本格稼働すれば英語UIの壁もかなり下がるはずだ。
Make Code:JavaScript/Pythonをシナリオ内で直接実行できるようになった。API連携やデータ加工の自由度が大幅に向上している。
総合評価
| 評価項目 | スコア | コメント |
|---|---|---|
| コスパ | ★★★★★ | Zapierの半額以下 |
| 機能の豊富さ | ★★★★★ | 分岐・ループ・エラー処理まで充実 |
| 使いやすさ | ★★★ | 英語UIと学習曲線がネック |
| 日本語対応 | ★★ | 英語のみ。日本語コミュニティは成長中 |
| セキュリティ | ★★★★★ | SOC 2/3取得、GDPR準拠 |
| 無料プランの実用性 | ★★★★ | 1,000クレジットで小規模自動化は十分 |
| AI機能 | ★★★ | Maia(早期アクセス)は今後に期待 |
結論:「毎日5分の繰り返し作業」がある人は今すぐ試すべき
Make.comは、繰り返し作業を自動化するツールとしてコスパ最強だ。
ただし、万人向けではない。
今すぐ使うべき人:
- 毎日・毎週、同じ手順の作業を繰り返している
- コストを抑えて自動化したい
- 複雑な条件分岐のある業務フローがある
別のツールを検討すべき人:
- 英語UIに不安がある → Zapier(UIが直感的)
- エンジニアでコストを極限まで抑えたい → n8n(無料セルフホスト)
- とにかく簡単に1つだけ自動化したい → Zapier(設定が最も簡単)
無料プランで1,000クレジット使えるので、まずは「Gmail → Google Sheets」のような簡単なシナリオから始めてみてほしい。5分で最初の自動化が動く。
その5分の投資が、毎月何時間もの自由時間を生み出すことになる。
この記事の情報は2026年3月時点のものです。料金・機能は変更される場合があるため、最新情報はmake.comの公式サイトでご確認ください。


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